南海日日新聞-令和6年5月26日

2017年6月、本紙文化面「つむぎ随筆」を再開して6年が経過した。ピンチヒッターを含めて延べ36人が執筆してくれた。取材でお世話になり、エッセーで再会した人もいる。先山和子さん(知名町/神戸市)もその一人だ▶先山さんと出会ったのは2014年3月、大島高校が初めて甲子園に出場した時だった。先山さんは当時、関西安陵会の会長。「甲子園で奄美は一つになる」と強調していた。関西の女性陣は大島紬姿で声援を送り、シマッチュの心意気を全国に示した▶2018年、西日本を襲った大型台風の際は長女と次女が撮影した写真を転送してくれた。その後も時折、連絡を取り合っていた。22年春のこと。沖永良部と神戸を行ったり来たりする生活に入ると聞いた▶「出身者のこと、農災を乗り越えた経験を書いていただきたい」と執筆を依頼した。随筆を通して異郷の地で肩を寄せ合い、助け合って生きてきた出身者の労苦を知った。最後のテーマは「新しい時代へスタート」。古里との交流、時代にふわさしい郷土会づくりを訴えた▶先山さんは今年、関西奄美会の会長に就任。「ワクワクする奄美会にしたい」(先山さん)。郷土会は出身者の心のよりどころ。これまで以上に楽しく、頼れる団体に発展させてほしい。

2024・5・26

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